1-8-7 Utmost/Reasonable/Due Despatch
閲覧者数:85、最終更新日2022/02/03
一般に航海傭船契約上の船主は、迅速に航海を遂行する義務を負います(いわゆるUtmost/Reasonable/Due Despatch義務)。特に、本船の積地到着予定日(ETA)や準備完了予定日(ERL)等を契約上明記する場合、この義務と相まって、当該予定日に積地に到着すると合理的に考えられる日までに積地回航を開始しなければならない義務を負うことになります。また契約締結後に積地到着予定日を通知する場合も、いかに「予定」であっても誠実な見積もりが求められており、誠実に予定日を見積もって通知しなかったことで傭船者に損害が生じた場合、船主は傭船者に対し損害賠償の責を負うこととなる可能性があります。なお、上記は、本船がCancelling Dateに間に合わなかったことによる傭船者への契約解除権の付与条件(Lay/Can規定)とは別個独立したものであり、Cancelling Dateに間に合わなかったことが直ちに損害賠償の問題に直結するわけではありませんので、混同しないよう注意が必要といえます。
事例(ID:7504)
相談者:傭船者 閲覧者数:25、最終更新日2022/02/03
GENCON(1994年版)をベースにした先物貨物の航海傭船契約において、投入予定船のNominationを船主から受けた。Nomination時本船の積地ETAはCancelling Dateの5日前だったが、その後悪天候の発生による前航荷揚作業の遅れ及び本船のエンジントラブルに伴う修繕作業の必要性から、Cancelling Dateには若干間に合わないことがほぼ確定した。他方で、当社は荷送人との貨物売買契約上本船がCancelling Dateに間に合わない場合には遅延損害金の支払い義務を負っているため、もしこの傭船契約を解除せずに当該本船を使用するとすれば、この支払いに応じなければならない。そこで、最終的にはこれを船主に転嫁する前提で、当該傭船契約は解除せずに、本船を使用することを考えている。このようなことは可能なのか。
例えば英国法の考え方では、まず船主の使用本船の選択権に基づく事後的な本船のNominationには、使用本船が特定されるのみならず、当初から当該本船を対象とした航海傭船契約が締結されたものであったとみなされる効果があるとされる。この点、この時に提示した本船のETAも当初から契約上規定されていたものとみなすことができるのであれば、船主による義務違反が認められる可能性があり、船主に対し損害賠償請求できる余地があると考えられる。しかし、当該遅延損害金は船主にとっては全く関係のない売買契約上の規定に基づく金銭であるといい得ること等から、当該航海傭船契約上における損害であると認定することができるか、等といった点は議論できるように思われるため、一概に求償が成功するとは言い切れないように思える。