1-2-1-1-1 Port Charter/Berth Charter
閲覧者数:405、最終更新日2021/12/23
航海傭船契約は、本船の到達すべき場所を「港(一帯)」と約定するか「(特定の)バース」と約定するかによって、各々「ポートチャーター」あるいは「バースチャーター」と分類することができるとされます。前者では特定の港の本船をすぐに提供できる場所(通常の待機錨地等、ただし直航できる場合は特定の荷役用バース等)にまで、後者では特定の荷役用バース等にまで本船が到達しなければ、原則として船主はNORをTenderすることはできないとされます。また、そう約定された以上、それらの場所に到達するまでの遅延リスク一般は原則として船主が負担するものとされます。ポートチャーター及びバースチャーターの分類は、通常次のようになされるとされます。すなわち、積地または揚地(到達すべき場所)を:

(a) 単に「港名」と指定する、「1SP 1SB (港名)」と規定する等
   例:「London, one safe berth」
     「to proceed to (港名) and then load at one safe berth」
    → ポートチャーター、

(b) 「1SB 1SP (港名)」と規定する、傭船者のBerth指定権を明記する等
   例:「One safe berth, London」
     「to proceed to (港名) and then load at one safe berth
      + as ordered by the charterer」
    → バースチャーター。
事例(ID:201)
相談者:傭船者 閲覧者数:82、最終更新日2021/12/23
バースチャーターの航海傭船契約において、船混みは無くバースに直行できたにもかかわらず、本船が港外に位置するパイロットステーションに到着しその地点を通過した時にNORがTenderされた。このNORは有効なのか。
原則として無効であると思われる。バースチャーターにおいては、港内の指定されたバースに到達できなければNORをTenderすることはできないところ、特段の規定が無い限り、港内にすら進入できていない段階でTenderされたNORを有効とみなす根拠は存在しないと考えられる。
事例(ID:202)
相談者:傭船者 閲覧者数:60、最終更新日2021/12/23
ASBATANKVOYを用いて締結された中国長江流域の港を目的地とするバースチャーターにおいて、本船が河口のいわゆるCJK Anchorageに到着した時点でNORがTenderされたが、このNORは有効か。
第6条より、本船がCustomary Anchorageに到着した時点でNORのTenderが可能となると規定されているため、CJK Anchorageが当該目的港のCustomary Anchorageといえるならば当該NORは有効、逆に、CJK Anchorageよりさらに上流に、Customary Anchorageと呼ぶによりふさわしい地点があるとすれば、当該NORは無効であると考えられる。
事例(ID:203)
相談者:船主 閲覧者数:62、最終更新日2021/12/23
バースチャーターによる某港間の航海傭船契約において、揚地で船混みが生じており、付近に到着してもバースまで直行できない可能性が高く、さらには港外の錨地で待機しようにも、天候悪化による走錨・事故リスクが想定されたため、積荷役終了後本船を揚地に向け航行させるのではなく、一旦積地の錨地で待機させその地点での待機開始時点で、擬制の上で、揚荷役のためのNORをTenderした(同時に傭船者により当該NORはAcceptされた)。その後傭船者より、積地錨地での当該待機時間及び積地錨地から揚地到着までの航行時間をLaytimeとしてはカウントしないと主張されているが、この主張は妥当か。
厳密に言えば本船が本来到達すべき場所にいなかったのは確かであり、積地錨地において揚荷役のためのNORをTenderしたとしても無効とも考えられるが、当該NORがAcceptされた事実やそれ以前の交渉過程等に鑑み、合意の上でこの様な運航やNORのTenderを行ったものとして、例えば少なくとも前者についてはカウントするとすべく交渉してはどうか。なお、一般論として、敢えて揚地に向けて航行させなかったことをして船主のReasonable Despatch義務違反が成立する可能性も考えられるため、この様な運航を行う際には、両当事者の特別な合意に基づくことを推奨する。
事例(ID:204)
相談者:傭船者 閲覧者数:52、最終更新日2021/12/23
「1SB, 1SP in Mississippi River District」と規定した航海傭船契約において、河口到着後本船はバースまで直行したのだが、NORは河川の遡上途中でTenderされた。Laytimeの計算に際して、船主からはあくまで遡上完了後ハーバーパイロットの乗船から着岸完了までの時間をShifting Timeとみなし、その部分のみを傭船契約中の規定に基づきLaytimeから控除すべきと主張しているが、この主張は正しいか。
当該NORの有効性に争いが無いのであれば問題にはならないだろうが、本契約はいわゆるバースチャーターであり、到達場所は特定の荷役バースであるといえるため、そもそも河川航行中にTenderされたNORは無効である可能性がある。基本的にNORが無効であればLaytimeも開始し得ず、どこからどこまでをいわゆるShiftingとみなすかについての議論は意味を為さないかもしれない。
事例(ID:205)
相談者:船主 閲覧者数:44、最終更新日2021/12/23
錨地におけるバージを使った積荷役(はしけ積)に関して、本船はバージの到着を待つべく、NORをTenderした上で、錨地で待機していたが、その地点が傭船者(及び荷送人)の指定した場所ではなく、またバージがその地点にたどり着くには途中うねりの強い箇所を航行する必要があり危険であるため、バージを当該地点まで送れない等の理由から、その後本船が改めて指定地点に移動するまで荷役が開始されなかった。当社としては、船長曰く海図の確認やパイロットへの相談の結果、傭船者指定の地点は海流が強く走錨の危険性がある点及び周囲に多くの他船がおり衝突のリスクを回避したい点から当初の地点で錨泊を実施したのであり、非があるわけではないため、待機にかかった時間はLaytimeとしてカウントすべきであると考えている。一方、傭船者は、どうあれ当初は本船が指示した地点にいなかった点、他船も通常は指示通りの地点に錨泊して荷役を進めている中、本船だけがそれに従わなかった点等から、カウントは認められないと主張している。どちらが正しいか。
傭船者に分があるように思われる。本件における本船が到達すべき場所はおそらく指示のあった錨地であり、そこに到達していない以上そもそもNORのTenderは無効であったと解釈でき、その後の待機時間はLaytimeとしてはカウントできないものと思われる。なお、走錨や衝突といったリスクに関し、一般には傭船者は安全港の指定を、船主は本船の安全航行をそれぞれ担う立場にいるといえるが、そのような点にかかる権利義務とNORの有効性ないしLaytimeのカウント条件は別個のことであり、例えば船長の判断に正当性があるといえるからLaytimeをカウントすべき、傭船者の指示が絶対に優先するといえるからLaytimeはカウントすべきでない、といった議論が、いつでも妥当するとは限らないだろう。