2-2-1 Definition of Preventing
閲覧者数:537、最終更新日2023/03/28
「稼働の阻害」とは、「その当時、傭船サービス上、本船に通常求められていた事項の履行が妨げられること」を指すとされます。例えば、本船が目的地に向け海上を航行中なのであれば、その際に求められるサービスとは基本的には航行を継続し目的地へ到達することであって、エンジントラブルとそれに伴う船上での修理作業のために海上で一時停止ないし減速するようなことがあれば、それが解消され傭船者の指示どおりの航行を再開するまで、稼働が阻害されたと評価することができるでしょう。反対に、同じ例で本船が海上を航行中に乗組員による荷役用クレーンの修理作業が行われたとして、それが完了するまでは確かに本船はクレーンを用いた荷役作業に適した状態ではなかったといえますが、その当時本船に求められていたのはクレーンを用いた荷役を行うことではなく単に航行するということであって、当該修理作業によって稼働が阻害されたと評価されることはないでしょう。
事例(ID:13516)
相談者:傭船者 閲覧者数:62、最終更新日2023/03/28
木材チップ専用船について、荷役を開始しようとした際に本船上の荷役設備が故障した。その修理のために数時間の遅延が生じたことが災いして、荷役自体の完了が当日の夜となり、日没後は航行が禁止された港であったために本船は翌朝まで出港できないこととなった。故障さえなければ当日夕方の日没前までには出港できたであろうはずなのだから、故障から翌朝出港時刻まで全てがOff hireとなるのではないのか。(使用書式:ASBATIME)
そうはならないと思われる。当時求められていた傭船サービスとは「(本船上の設備を荷役業者等に用いさせながら)荷役を実行ないしは監督する」ことであったといえ、修理作業中はそれが達成されないため稼働の阻害があるといえるものの、修理完了時にはその状態が解消され稼働の阻害がなくなったといえるのではないか。
事例(ID:13517)
相談者:船主 閲覧者数:57、最終更新日2023/03/28
翌朝午前6時に着岸作業に入る予定で本船が錨地で待機していたところ、当日夜9時頃に揚錨機が故障しているのが発覚した。このままでは翌朝の着岸作業に支障を来すことから、夜間にクルーによる修理を行ったところ、未明には復帰し、当該着岸作業は予定どおり行われた。本件を報告していたため傭船者もこの件を知っていたが、故障発覚から修理完了までOff hireとなると主張している。この主張は正しいのか。(使用書式:SHELLTIME 4)
正しくないと思われる。当時本船が受けていた指示とは「錨泊し待機する」ことであって、揚錨機が故障したとはいっても、その指示を遂行できない状態に陥っていたわけではないと思われるので、稼働の阻害が存在せず、Off hireは成立しないのではないか。
事例(ID:13518)
相談者:傭船者 閲覧者数:49、最終更新日2023/03/28
米国ガルフから日本への穀物の輸送に際して、積荷役後パナマ海峡を通峡しようとした際、オーバードラフト状態であったために本船はCristobalで一時停船を余儀なくされた。対策案を検討したところ、艀をチャーターし一部の貨物を揚げ本船のドラフトを上げた上で通峡、Balboaで再度艀の貨物を本船に移した上で揚地に向かう他なく、そのように対応した。本件はどうやら船長の積載プラン上の計算ミスが原因であるらしい。本船がCristobalで通峡を止められてからBalboaで艀荷役を完了し再度航行を開始するまでの一切の時間をOff hireとできるか。(使用書式:NYPE 46)
できないと思われる。オーバードラフトとは単にパナマ海峡通峡時の基準に照らして相対的にそういえるのみであって、本船自体は航行や荷役といった一般的指示の遂行に支障のある状態ではなく、現実に艀荷役自体や通峡自体は可能だった。この点で稼働が阻害されていたとはいえないため、Off hireは成立しないと思われる。なお、艀への積替費用は船主負担であろうものの、当該ミスを根拠とする傭船者からの損害賠償請求については、NYPE 46の規定上、船主の免責が認められる余地があり、難しいのではないだろうか。