2-3-4 Causation
閲覧者数:95、最終更新日2023/03/28
個別具体的な発生事象が、一見すると規定されたOff hire事由に該当すると思われるとしても、一般的にはその事象及び稼働の阻害と、時間の喪失との間の因果関係も考慮すべきであるとされます。
事例(ID:14574)
相談者:船主 閲覧者数:33、最終更新日2023/03/28
本船が米国の揚港で荷役作業を行っていたところ、停泊中に船員の一人が本船から無断で下船し、そのまま逃亡するという事態が発生した。結局本人は見つからず、米国沿岸警備隊(USCG)や税関・国境警備局(USCBP)を巻き込んだ騒動となった。船長や士官への尋問等も経て傭船者手配の代理店によりレポートが作成されたが、当日中に当該レポートを代理店がUSCBPのオフィスへFAX、さらにUSCBPがUSCGのオフィスへFAXすることを条件に、翌朝の出港許可とする旨USCGによりその場で判断され、無事処理された。ところが翌朝、本船が出港後しばらく航行を続けた後に、USCGから元の岸壁に戻るよう指示が出され、本船は急遽元の岸壁へ再着岸した。聞けば、USCBPの担当者がFAXの送信を今朝まで忘れていたとのことで、本船の出港前までにレポートがUSCGへ到達しておらず、USCGとしては出港許可を出すには至っていなかったのが原因であったという。本件のOff hireの成否について、契約上、「クルーのストライキによって船員全員が本船上に適正に配置されていないことによって生じた遅延はOff hireとする」旨の追加条項を付しており、これに基づいて、出港が遅延した時から再着岸・再出港するまでの全ての時間をOff hireとすべきであると傭船者が主張しているが、正しいのか。(使用書式:NYPE 46)
まず本件はストライキとは言い難い点から、この追加条項は発動しないものと思われる。その上で、確かに大元を辿れば船員の脱走が根本原因となっており、また、例えばOff hire条項中の「Deficiency of men(人員の不足)」またはそれに類似した事由と言い得るとは考えられるものの、遅延とはいっても当局間の伝達ミスによって発生したといえる部分にはもはや脱走との因果関係がなく、例えば一度出港してUSCGの指示に基づき引き返すことになった以降は、Off hireではなくなるのではないか。