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一般社団法人日本海運集会所
海事仲裁委員会

仲裁規則

1962年9月13日制定
2014年9月26日最終改正
2014年11月1日施行
第1条(本規則の目的)
 本規則は、一般社団法人日本海運集会所(以下「集会所」という)において行われる仲裁に適用する。
第2条(仲裁廷)
(1) 前条の仲裁は、第15条ないし第17条又は第27条によって選任される仲裁人からなる仲裁廷(単独仲裁人の場合を含む。以下同じ)を設けて行う。
(2) 仲裁廷は、集会所及び海事仲裁委員会(以下「委員会」という)から独立してその任務を遂行する。
(3) 仲裁廷は、仲裁合意の無効又は不存在の主張があっても、仲裁合意が有効であると判断するときは、仲裁手続を続行することができる。この場合、仲裁廷は仲裁合意が有効である旨、仲裁判断前に決定することもできる。
第3条(仲裁合意と本規則等の関連)
 当事者が仲裁合意書又は他の契約書中の仲裁条項に、紛争を集会所の仲裁又はその規則による仲裁に付託する旨を定めたときは、本規則、簡易仲裁規則及び少額仲裁規則(仲裁申立て受理時に改正されていたときはその改正規則)を仲裁合意の一部とみなす。
第4条(事務局)
 集会所の事務局は、委員会又は仲裁廷のため、本規則に定める事務その他委員会又は仲裁廷の命ずる事務を行う。
第5条(仲裁の申立てのための提出書類)
(1) 仲裁を申し立てようとする当事者(以下「申立人」という)は、次の書類を事務局に提出しなければならない。
  1. 仲裁申立書
  2. 紛争を集会所の仲裁又はその規則による仲裁に付託する旨の合意を証明する書面
  3. 申立人の申立てを基礎づける証拠書類があるときは、その証拠書類
  4. 申立人が法人であるときは、その代表者の資格を証明する書面
  5. 代理人を選任したときは、その者に代理権を授与した旨の書面
(2) 前項の書類の提出通数は、事務局の指示による。
第6条(仲裁申立書の記載事項)
 仲裁申立書には、次の事項を記載しなければならない。
  1. 当事者の住所及び氏名(法人の場合は本店又は主たる事務所の所在地、名称、代表者の資格及び氏名)
  2. 請求の趣旨及び原因
第7条(仲裁申立ての受理)
(1) 仲裁申立てが前2条に適合することを確認したときは、事務局はこれを受理する。ただし、特別の事情があると認められるときは、第5条第1項第3号ないし第5号の書類を後日提出することを条件として、仲裁の申立てを受理することができる。
(2) 前項の規定により仲裁の申立てを受理したときは、仲裁申立書が集会所に到達した日をもって時効中断の効力を生ずる。ただし、仲裁手続が仲裁判断によらずに終了したときは、この限りでない。
(3) 夜間、休日等で、仲裁申立書を集会所に提出できないときは、仲裁申立書を電子郵便(Eメール)又はファクシミリにて集会所に送信することができる。ただし、後日、速やかに、仲裁申立書の正本を他の提出書類とともに事務局に提出しなければならない。この場合、電子郵便又はファクシミリを送信したことが確認されたときは、送信した日をもって仲裁申立書が集会所に到着した日とみなす。
第8条(調停の試み)
(1) 事務局は、仲裁申立てを受理した後、当事者間における簡便、迅速、かつ円満な紛争の解決のため、調停を行うよう当事者双方に勧めることができる。
(2) 前項の規定により当事者双方が調停を行うことに同意したときは、委員会は、調停手続が終了するまで仲裁手続を中断する。
(3) 調停は、海事仲裁委員長が選任する1名の調停人により、前項の同意があった日から原則として60日間に限り行う。
(4) 調停手続は、本条に規定する事項を除き、集会所調停規則(以下調停規則という)を適用する。
(5) 調停により紛争が解決した場合、仲裁受理料は調停規則第1条に定める予備調査費用及び調停費用の一部に充当する。
(6) 調停人は、当事者双方が合意した場合に限り、調停不調の場合に再開される仲裁の仲裁人となることができる。
(7) 調停不調の場合に再開される仲裁手続の仲裁費用納付金は、調停費用が予納されているときはこれを控除した額とする。
第9条(答弁書及び主張書面の提出指示)
(1) 事務局は、仲裁の申立てを受理したときは、仲裁申立書及び証拠書類の写を相手方当事者(以下「被申立人」という)に送付し、その受信日から21日以内に到着するよう、答弁書及びこれを基礎づける証拠書類があればその書類を事務局及び申立人に送付すべきことを指示する。ただし、被申立人の住所又は本店若しくは主たる事務所の所在地が外国にあるときその他特別の事情があるときは、相当の期間の猶予が認められる。被申立人が法人であるときは、その代表者の資格を証明する書面を答弁書に添付して事務局に送付しなければならない。
(2) 被申立人が代理人を選任したときは、答弁書提出の際、その者に代理権を授与した旨の書面を提出しなければならない。
(3) 答弁書及び証拠書類の送付を受けた申立人は、それに対して異議があるときは、その受信日から14日以内に到着するよう、主張書面及び証拠書類を事務局及び被申立人に送付しなければならない。
(4) 前項に規定する手続は、その後に当事者が主張書面及び証拠書類を提出した場合にも繰り返して行う。ただし、仲裁廷は、それらの主張書面及び/又は証拠書類を送付しないよう指示することができる。
(5) 答弁書その他の主張書面及び証拠書類の提出は、電子郵便、ファクシミリ等によることができる。それらの書面が真性に成立したこと及び相手方に送付したことの挙証責任は、発信者が負う。
(6) 本条の書類の提出通数は、事務局の指示による。
第10条(書類の送付)
(1) 事務局からの書類の送付は、当事者又はその代理人の受領書と引換えに交付する場合を除き、仲裁申立書に記載された当事者の住所、常居所、営業所、事務所、その代理人の住所又は当事者の指定した場所に行う。
(2) 前項の手続は、当事者の指定した宛先に電子郵便、ファクシミリ等を送付して行うことができる。
第11条(被申立人の反対請求)
(1) 被申立人は、同一の事件から生ずる反対請求の仲裁を申し立てるときは、原則として第9条第1項の期間内に申し立てなければならない。
(2) 前項の期間内に申し立てられた反対請求の申立ては、原則として申立人の申立てに係る仲裁事件と併合して審理する。
第12条(申立ての変更)
 仲裁申立ての変更又は追加は、仲裁人の選任前にしなければならない。ただし、仲裁人の選任後においても、仲裁廷の承認を得たときはこの限りでない。
第13条(仲裁地)
(1) 仲裁は東京都又は神戸市において行う。
(2) 仲裁合意書又は仲裁条項に仲裁地を指定していないときは、東京都を仲裁地とする。
(3) 仲裁合意書又は仲裁条項に仲裁地として東京都又は神戸市のいずれを選定したか明らかでない場合において当事者間の合意が得られないときは、東京都を仲裁地とする。
第14条(仲裁人の資格)
 仲裁人は、委員会が管理する「仲裁人名簿」に記載され、かつ、当事者及び当該事件に利害関係がないとみられる者のうちから選任される。ただし、委員会が特に必要と認めたときは、委員会は「仲裁人名簿」に記載されていない者を選任することができる。
第15条(二当事者間の仲裁における仲裁人の選任)
(1) 当事者は、前条の要件を充たす者の中から、それぞれ1名の仲裁人候補者を指名し、指名された2名の仲裁人候補者は、第三の仲裁人候補者(以下「第三仲裁人候補者」という)を指名する。第三仲裁人候補者は原則として前条の要件を充たす者の中から、指名される。ただし、指名された2名の仲裁人候補者が適切と認めるときは「仲裁人名簿」に記載されていない者を指名することができる。
(2) 申立人は申立ての日から、被申立人は申立書が送付された日から、15日以内にそれぞれ仲裁人候補者を指名し、相手方及び事務局にその仲裁人候補者名を通知する。第三仲裁人候補者については、2名の仲裁人候補者が指名された日から30日以内に指名し、当事者及び事務局にその第三仲裁人候補者名を通知する。
(3) 委員会は、第1項の候補者を仲裁人及び第三仲裁人として選任する。当事者が同一の仲裁人候補者を指名したときは、委員会は、指名された当該仲裁人候補者を単独仲裁人に選任することができる。
(4)第1項及び第2項の規定に従って当事者が仲裁人候補者を指名しないとき、仲裁人候補者が第三仲裁人候補者を指名しないとき、又は当事者が仲裁人の選任を委員会に委ねたときは、委員会が当事者の意向を聞いた上、仲裁人又は第三仲裁人を選任する。
(5) 委員会による仲裁人の選任は、正副仲裁委員長の協議によって行う。
第16条(多数当事者仲裁における仲裁人の選任)
 仲裁手続に多数の当事者が関与する場合において、当事者間に別段の合意がある場合を除き、委員会は、当事者の意向を聞いた上、仲裁人を選任する。
第17条(仲裁人の補充選任)
 死亡、辞任その他の事由により、仲裁人に欠員が生じたときは、前2条の規定に準じて仲裁人を補充選任する。
第18条(仲裁人の義務及び罰則)
(1) 仲裁人は、公正かつ誠実にその任務を行い、当事者を公平に扱わなければならない。
(2) 仲裁人は、当事者、その代理人その他の関係者と当該事件に関して、個人的に接触してはならない。
(3) 仲裁人は、仲裁の内容、当事者名その他当該事件に関連した事項を第三者に漏らしてはならない。
(4) 仲裁人が前3項のいずれかに違反したときは、その仲裁人は直ちに辞任しなければならない。
(5) 委員会は、前項の仲裁人を「仲裁人名簿」から除名することができる。
第19条(仲裁人による開示)
(1) 第15条ないし第17条及び第27条に基づいて選任された仲裁人は、選任後7日以内に、自己の不偏性及び独立性を疑われるおそれのある事情を開示する書面を事務局に提出し、事務局はその書面の写を全当事者及び他の仲裁人に送付する。
(2) 仲裁人は、仲裁手続の進行中に前項に定めた事由が生じたときは、速やかにその事情を記載した書面を事務局に提出し、事務局はその書面を全当事者及び他の仲裁人に送付する。
(3) 前2項の開示には、次の者と密接な個人的取引上その他の関係があるか否かを含む。
  1. 仲裁の当事者
  2. 当事者の子会社等の関係会社
  3. 当事者の代理人
  4. 選任された他の仲裁人
(4) 当事者が第1項、第2項の書面の受信日から7日以内に、仲裁人の忌避の申立てをしないときは第1項、第2項の開示事項については、異議なく認めたものとみなす。
第20条(仲裁人の忌避)
(1) 当事者が仲裁人を忌避しようとするときは、忌避する仲裁人の氏名及び忌避の理由を明記した書面を事務局に提出しなければならない。
(2) 前項の書面が提出されたときは、第5項の通知があるまでの間、仲裁手続を中断する。委員会は忌避理由の有無につき審査するため、正副仲裁委員長の協議により「仲裁人名簿」に記載された者のうちから3名の委員を指名して、忌避審査委員会を設けなければならない。
(3) 忌避審査委員会は、委員会設立から原則として30日以内に忌避を認めるか否かの結論を出さなければならない。
(4) 忌避審査委員会が仲裁人忌避の理由があるとの結論に達したときは、第17条の規定により仲裁人を補充選任する。
(5) 前項により仲裁人が補充選任されたとき又は忌避審査委員会が仲裁人忌避の理由がないとの結論に達したときは、事務局はその結果を当事者に通知する。
(6) 仲裁人は、忌避の申立てがあった場合、自ら辞任することができる。ただし、それによって忌避の申立てに理由があるものと解されてはならない。
第21条(当事者の義務)
(1) 当事者は、仲裁手続を迅速に進行させるため仲裁廷の指示に従わなければならない。
(2) 当事者が故意又は重大な過失により、時機に後れて新たな主張若しくは証拠を提出し、又は新たな証人若しくは鑑定人を申請し、これにより仲裁の完結を遅延させることとなると認めたときは、仲裁廷は、これらを却下することができる。
(3) 仲裁手続及びその記録は非公開とし、仲裁の当事者、その代理人その他の関係者は、仲裁の内容、当事者名その他進行中の当該事件に関連した事項を第三者に漏らしてはならない。
第22条(争点整理と手続日程)
(1) 仲裁廷は、早い機会に争点、提出予定の証拠、手続の日程等につき、当事者又はその代理人と協議し、確認しなければならない。
(2) 仲裁廷及び当事者は、原則として、前項で確認された手続の日程に従って速やかに手続を進行するよう努めなければならない。
第23条(口頭審理)
(1) 仲裁廷は、当事者に出席の機会を与え、口頭審理を実施する。ただし、仲裁廷は、適当と認めるときは口頭審理を省略し、書面審理のみを行うことができる。
(2) 仲裁廷は、口頭審理を行うときは、その日時(以下「期日」という)と場所を指定し、特別の事情がない限り、遅くともその14日前までにこれを当事者に通知する。
第24条(当事者等の出席)
(1) 当事者(法人の場合は代表者)又は代理人は、口頭審理を受けるため期日に出席しなければならない。
(2) 当事者は、事案の担当者を口頭審理に出席させ、事案について陳述させることができる。この場合、仲裁廷は、担当者の同一性を確認することができる。
(3) 当事者は期日の7日前までに、出席する者の氏名、役職等について、相手方及び事務局に通知しなければならない。
(4) 当事者若しくは事案の担当者又は代理人が正当な理由なく期日に出席しないため口頭審理を行えないときは、仲裁廷は当事者の提出書類その他の証拠資料によって判断することができる。
(5) 仲裁廷は、相当と認めるときは、当事者の意見を聞いた上、欠席した当事者(代理人及び事案の担当者を含む)と口頭審理期日の他の出席者全員との間の通話が、スピーカー等を介して、双方向に、かつ、全員に聞こえる方法により、欠席した当事者(代理人及び事案の担当者を含む)を口頭審理に参加させることができる。この場合、口頭審理期日に出席しないで上記の方法により口頭審理に参加した者は、その期日に出席したものとみなす。
第25条(証人又は鑑定人の口頭審理等)
(1) 当事者は、証言事項又は鑑定事項を明記して、証人又は鑑定人の口頭審理における尋問を仲裁廷に申請することができる。
(2) 仲裁廷が前項の申請を認めたときは、事務局は全当事者に対して原則として口頭審理実施日の30日前までに前項の内容を通知しなければならない。
(3) 仲裁廷は、当事者の申請の有無にかかわらず、証人に出席を求め、鑑定人を選任し、必要な事項について証言又は鑑定をさせることができる。
第26条(手続参加)
(1) 仲裁手続外の第三者は、仲裁事件における当事者全員の同意を得て、仲裁廷に対し、当事者として参加するよう申し立てることができる。
(2) 仲裁手続の当事者は、他の当事者、仲裁手続外の第三者の同意を得て、仲裁廷に対し、当該第三者を当事者として仲裁手続に参加させる申立てを行うことができる。
(3) 当該第三者が、仲裁手続の当事者に対し、独立して自己の権利を主張するときは、仲裁廷は、これを独立した仲裁申立てとみなし、従前の仲裁手続と併合して審理する。
(4) 仲裁の目的物の権利又は義務の移転に伴い、第三者が、前各項の規定により、第三者として、仲裁手続に参加した場合、当該参加した当事者を含め、全当事者の同意があるときは、当事者は、仲裁手続から脱退することができる。
第27条(仲裁手続の併合)
(1) 同一船舶を目的とする傭船、造船、売買等につき、締結された複数の契約に関する紛争、その他法律上又は事実上の争点が共通である紛争につき、複数の仲裁手続が開始されたときは、委員会は、当事者の申立てにより、又は職権で、これら複数の仲裁手続を併合し、一つの仲裁手続で審理するよう決定することができる。
(2) 前項の場合、委員会は、第16条の規定に基づき仲裁人の選任を行う。
(3) 第1項の規定によって複数の仲裁手続を併合しない場合であっても、委員会は適切と認めるときは、複数の仲裁手続を並行して行うよう決定することができる。この場合、口頭審理を行う際は、全仲裁廷の全仲裁人及び全当事者が出席しなければならない。ただし、当事者が、正当な理由なく出席しないときは、この限りでない。
(4) 委員会は、当事者の申立て又は職権で相当と認めるときは、併合した仲裁手続を分離することができる。
(5) 本条における委員会は、正副仲裁委員長の会議をもってこれに替えることができる。
第28条(審理終結の宣言)
 仲裁廷は、審理終結を相当と認めるときは審理の終結を宣言する。ただし、仲裁廷が必要と認めたときは、仲裁判断前に限り審理を再開することができる。
第29条(委員会及び仲裁人の免責)
 委員会、仲裁人及び事務局は、仲裁手続及び仲裁判断につき、一切の民事責任を免除される。
第30条(用語)
 申立書、答弁書、その他の主張書面、口頭審理及び仲裁判断書に使用する用語は、国内案件については日本語、国際案件については原則として英語とし、証拠書類については、仲裁廷が特に命じた場合を除き、翻訳を要しない。
第31条(通訳)
 口頭審理において通訳を必要とする当事者は、自己の費用で通訳を同席させることができる。
第32条(和解)
(1) 当事者は、仲裁手続の進行中に和解によって紛争を解決することができる。
(2) 仲裁廷は、仲裁手続の進行の程度を問わず、当該紛争の全部又は一部について、和解を試みることができる。この場合、書面による同意を要しない。
(3) 前項に基づく和解の試みが不調に終わったときは、仲裁廷は、仲裁手続を続行する。ただし、仲裁廷は、和解を勧める際に知り得た情報を仲裁判断の材料としてはならない。
第33条(仲裁の申立ての却下その他の決定)
 仲裁廷は、次の場合には本案を判断することなく、仲裁の申立ての却下その他必要な決定をすることができる。
  1. 仲裁合意の不成立若しくは無効が判明し、又は合意により仲裁合意が取り消された場合
  2. 当事者が適法に代理又は代表されていないことが判明した場合
  3. 口頭審理期日に当事者双方が理由なく出席しない場合
  4. 手続上必要と認めた仲裁廷の指揮要求に当事者双方が従わない場合
  5. 申立人が仲裁手続の迅速な進行を不当に遅らせたものと仲裁廷が認めた場合(被申立人が反対請求を行ったときは、被申立人の請求についても同様とする。)
第34条(仲裁申立ての取下げ)
(1) 第9条第1項に基づき仲裁申立書及び証拠書類の写を被申立人に送付する前においては、申立人は、被申立人の同意を得ることなく、仲裁申立てを取り下げることができる。
(2) 仲裁廷設立前に、申立人が仲裁申立てを取り下げることを申し出た場合、委員会は、被申立人に異議がないと認められるときは、取下げを許可することができる。この場合、委員会は、仲裁手続終了の決定をしなければならない。委員会による決定は、正副仲裁委員長の協議によって行う。
(3) 仲裁廷設立後、申立人が仲裁申立てを取り下げることを申し出た場合、仲裁廷は、被申立人に異議がないと認められるときは、取下げを許可することができる。この場合、仲裁廷は、仲裁手続終了の決定をしなければならない。
第35条(損害額の認定)
 損害が生じたことが認められる場合において、損害の性質上その額を立証することが極めて困難であるときは、仲裁廷は、審理の結果に基づき、相当な損害額を認定することができる。
第36条(仲裁判断をなすべき期間)
 仲裁廷は、第28条により審理の終結を宣言したときは、その宣言の日から 原則として30日以内に本案につき判断をしなければならない。
第37条(仲裁判断等の決定方法)
 複数の仲裁人による仲裁判断その他の決定は、仲裁人の過半数による。
第38条(仲裁判断書)
(1) 仲裁廷が仲裁判断の裁決をしたときは、次の事項を記載した仲裁判断書を作成し、仲裁人全員が署名する。ただし、やむを得ず署名できない仲裁人がいるときは、その旨を記載して、その仲裁人の署名を省略する。
  1. 当事者の住所及び氏名(法人の場合は事務所の所在地、名称、代表者の資格及び氏名)、代理人を選任したときはその氏名
  2. 判断の主文
  3. 事実及び争点の要領
  4. 判断の理由
  5. 判断書作成の年月日及び仲裁地
  6. 仲裁費用及びその負担の割合
(2) 仲裁廷は、当事者間に別段の合意があるときは、前項第4号の記載を省略することができる。
第39条(和解による解決の取扱い)
 当事者が仲裁の手続中に和解によって当該紛争の全部又は一部を解決したときは、仲裁廷は、当事者双方から要請があるときに限り、その和解の内容を仲裁判断の主文に記載することができる。
第40条(当事者が倒産した場合の手続)
(1) 仲裁申立てが受理された後、一方の当事者について破産、民事再生又は会社更生の手続開始の申立てがなされた場合、仲裁手続は、破産法、民事再生法又は会社更生法の訴訟手続に関する規定(ただし各規定の「訴訟手続」を「仲裁手続」に読み替えるものとする)に従って中断及び受継されるものとする。一方の当事者について外国において類似の手続開始の申立てがなされた場合には、破産法、民事再生法又は会社更生法のうち当該手続が最も類似する法律の規定に従うものとする。
(2) 前項の規定により仲裁手続が中断された場合、仲裁廷は、仲裁手続の当事者(破産管財人等が選任され当事者以外の者に財産管理処分権が専属する場合には、当該財産管理処分権者)に対して、仲裁手続の進行につき、書面で意見を徴することができる。仲裁手続で申立てられた債権につき裁判所に届出がなされ、これを破産債権、再生債権又は更生債権等として認めるにつき、異議が出された場合には、仲裁廷は、異議者に対しても、仲裁手続の進行につき、書面で意見を徴することができる。
(3) 仲裁廷は、仲裁手続の当事者全員(破産管財人等が選任され当事者以外の者に財産管理処分権が専属する場合には、当該財産管理処分権者)の同意がある場合には、速やかに、仲裁手続を進行しなければならない。裁判所に届け出た破産債権、再生債権又は更生債権等につき、異議が出された場合、仲裁廷は、仲裁手続の当事者全員に加えて異議者全員の同意も取付けるべきものとする。仲裁廷は、当事者及び異議者全員の同意を得られない場合でも、諸般の事情を考慮して適切と認めるときは、仲裁手続を進行させることができる。
第41条(判断書の送付)
 事務局は、仲裁人が署名した仲裁判断書を当事者数に一部加えた通数を作成し、各当事者に1通ずつ配達証明付書留郵便又は各当事者の受領を確認できる私設郵便にて送付し、1通を事務局が保管する。事務局は、各当事者の受領日を確認しなければならない。また事務局は、仲裁判断書に基づく強制執行等のため、当事者が判断書の謄本を請求したときは、所定の手数料を徴収して、これに応じなければならない。
第42条(判断書の訂正)
 仲裁判断書を送付した後、30日以内に違算、書損じその他これに類する明白な誤記があることを発見したときは、仲裁廷において訂正することができる。
第43条(仲裁判断の公表)
 仲裁判断は、判断書送付前に当事者が反対の意思表示をしない限り、公表することができる。ただし、仲裁判断集を出版するときは、当事者の意思に拘らず、当事者名及び固有名詞を伏せて公表することができる。
第44条(提出書類の不返還)
 当事者の提出した書類は、原則として返還しない。その返還を受けようとするときは、提出の際返還を要する書類である旨を明記し、その写を添えておかなければならない。
第45条(仲裁費用の納付)
(1) 申立人は仲裁を申し立てる時に受理料10万円を事務局に納付しなければならない。反対請求の仲裁申立ての場合もこれに準ずる。
(2) 各当事者は、仲裁に要する費用の一部として、仲裁納付金規定に定める基準により仲裁廷の決定する金員(以下「納付金」という)を、納付の通知を受けた日から 7日以内に事務局に納付しなければならない。仲裁申立時に請求金額が明示されていないときは、仲裁廷が請求の内容を勘案して概算納付金を決定する。ただし、請求金額が明らかになり次第、仲裁納付金規定により精算する。請求金額が算定困難な場合は概算納付金をもって確定納付金とする。
(3) 請求金額が外国の通貨で表示されたときは、申立てを受理した日の午後5時における東京外国為替市場の円相場の仲値によって、前項の納付金のための請求金額を算定する。
(4) 被申立人が反対請求の仲裁を申し立て、申立人の申立てに係る仲裁事件と併合して審理されるときは、双方の請求金額を合算した金額を仲裁納付金規定の請求金額とする。
(5) 仲裁廷は、申立人に対して被申立人が納付すべき納付金の立替納付を命ずることができる。
(6) 口頭審理回数が4回を超えた場合、5回目より各当事者は1回毎に5万円を事務局に納付しなければならない。ただし、同一暦日内の口頭審理は、その回数に関係なく1回とみなす。
(7) 事件の性質内容により特に要した費用、仲裁廷が要請した証人又は鑑定人のために要した費用は、当事者において追加して納付しなければならない。
(8) 受理料は、仲裁申立て受理後は、返還しない。納付金は、申立ての取下げ、和解による解決等があったことを理由として仲裁廷がその一部を返還すべきことを決定した場合に限り、その決定金額を返還する
(9) 当事者は、第1項ないし第7項に基づく金員に課される消費税相当額を各金員に加算して納付しなければならない。
(10) 第27条の規定により仲裁手続が併合されたときは、仲裁廷は、一部の当事者の納付金額を軽減することができる。
第46条(仲裁費用と代理人費用)
(1) 仲裁費用は、前条の受理料及び納付金をこれに充当し、その負担の割合は仲裁廷が決定する。
(2) 当事者が、口頭審理終了前に、前項記載の費用のほか、当該当事者が負担した代理人の弁護士費用、証人、鑑定人の費用、その他の手続費用を相手方に負担させる旨の判断を求める申立てをしたときは、仲裁廷は、本案に関する仲裁判断の内容に鑑み、合理的な範囲内において、手続費用の一部又は全部の負担を当該相手方に命ずることを仲裁判断とともに、又は独立して、決定することができる。
第47条(仲裁人に対する謝礼)
 仲裁人に対する謝礼は第45条の納付金の中から支払う。その金額については、事件の難易その他の事情を勘案して正副仲裁委員長協議の上これを定める。
第48条(委員会)
 委員会に関する事項については海事仲裁委員会規則による。
第49条(本規則の解釈)
 本規則の解釈及び本規則に規定のない事項は仲裁廷が決定する。仲裁廷設立前においては、正副仲裁委員長の協議によって決定する。
第50条(本規則の改正)
 本規則の改正は、仲裁委員長の発議により、委員会において行う。
第51条(細則)
 この規則の施行上必要な事項については別に細則を定める。

附則(2014年9月26日)

第1条
 この規則は2014年11月1日から施行する。
第2条
 この規則の施行前に仲裁を申し立てた事件には、この規則施行後もなお改正前の規則による。

仲裁納付金規定

各当事者の納付する仲裁納付金の基準は次のとおりとする。
  • 請求金額2,000万円まで45万円
  • 請求金額2,000万円を超えるものは2,000万円を超え1億2,000万円までの部分については、100万円に達するまでごとに1万円
  • 1億2,000万円を超える部分については、1,000万円に達するまでごとに2万円を加える。