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海事判例研究会

 海運集会所では、紛議をよりよく解決する方法を研究するために、過去二十数年間にわたり海事判例研究会を開催してきました。教材は主に英国判例、米国判例を使用し、講師は当所事務局員が担当するほか、適宜外部の方にもお願いしております。法務を担当されていない方の実務にも役立つ内容を心がけておりますので、お気軽にご参加下さい。

日時
月1回(原則として最終水曜日午後4時から5時30分まで)
場所
 日本海運集会所会議室
参加費
会員価格 年31,500円(全12回、消費税込)
(お申し込み受付後、半期毎(15,750円)に請求書をお送りします。)
お申し込み方法
お申し込みは、Eメール又はFAXでお願いします。
Eメール:こちらからどうぞ / FAX:03−5802−8371

<今月のテーマ> 2012年5月9日更新

第458回 2012年5月30日(水)午後4時〜5時30分
 
講 師:星  誠 氏
Metall Market OOO v. Vitorio Shipping Co. Ltd. (The Lehmann Timber)
[2012] EWHC 844 (Comm)
共同海損事案(ソマリア海賊)で、GA Guaranteeのみ提出されGA Bondが無い場合の船主の留置権行使の可否、留置に伴う費用の負担を巡る本年4月4日の判決:

一般貨物船の本船が処女航海で海賊に捕獲された。貨物はドイツ向けのハッチカバーとロシア向け鉄鋼。本船は解放金支払いで解放されたが、直後に機関故障を起こしサラーラに曳航され、船主はGAを宣言した。
解放金と曳航費用などがGA認定された。ドイツ向けのハッチカバーの荷受人は通常のGA手続を行い貨物は問題なく引渡された。しかし、鉄鋼コイルのロシア荷受人(BL数:4)はGA Bond提出を全面的に拒否。
ごく1部のコイル(1BL、価額で全体の10%ほど)のみ保険がついており、その分は保険者がGA Guaranteeのみ提出、荷受人は他の分のCash Depositは拒否。
船主はGuaranteeが出たコイル(Bondは出ていない)も含めて引渡しを拒否し、本船の不稼働回避のため該貨を陸揚げして倉庫保管した、というのが事実関係の概要。
BL上、ロンドン仲裁・英国管轄が規定されており、ロンドンでの仲裁は船主の求めた(1)GA分担金の支払いと(2)倉庫保管費用の支払いをいずれも認めた。この船主全面勝利とした仲裁判断が上訴されHigh Courtで争われた結果、(1)のGA分担金の支払い義務認容は支持されたが、(2)の保管費用は覆され船主負担とされた。

判例研究上のポイントとしては
1.解放金を含んだGAの認定自体は特段争われず追認されていると考えられる。
2.法的争点(1)の「Guaranteeが提出された一部のコイルの引渡し拒否」は妥当とされた。
(GA BondとGA Guaranteeの法的意味合いの違いが論じられている点が興味深い)
3.法的争点(2)の「Lien行使中の倉庫費用は(特段の契約(CPとかBL)上の特約がない限り、荷主・荷受人に負担を求めることはできない」と判断(先例に基づく)された。GA対応する船主は、一方で他のGA分担金受取人(犠牲貨物など)に対し、適切に留置権を行使する義務を負っており、この点は船主が実務で意思決定をする際、認識しておくべきと思われる。

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<海事法研究会(神戸)> 2012年4月24日更新

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