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【住田正一海事奨励賞各賞 受賞者決定のお知らせ】

2015年度 「住田正一海事奨励賞」、「住田正一海事史奨励賞」及び
「住田正一海事技術奨励賞」決定のお知らせ

上段左側が郷古氏(山岸氏の代理)、右側が伊藤氏、
下段左側が渡邉氏、右側が惠美氏
 
一般社団法人日本海運集会所
住田正一海事奨励賞管理委員会
 
「住田正一海事奨励賞」は、海運、造船事業に従事する傍ら、海事資料の刊行や廻船式目の研究などを通じて、広く海事文化の発展に寄与した故住田正一氏の功績を記念して昭和44(1969)年に設置されたもので、47回目を迎える今年度も海事奨励賞候補作、海事史奨励賞候補作および海事技術奨励賞候補作に意欲的な応募があった。
 各候補作について(一社)日本海運集会所・住田正一海事奨励賞管理委員会で慎重に検討を重ねた結果、海事奨励賞に山岸寛著『海運70年史』(山縣記念財団)、海事史奨励賞に伊藤玄二郎著『氷川丸ものがたり』(かまくら春秋社)と南極OB会編集委員会編『南極観測船「宗谷」航海記』(成山堂書店)、海事技術奨励賞に惠美洋彦著 『英和版 新 船体構造イラスト集』(成山堂書店)をそれぞれ決定し、11月17日、授賞式(於:日本海運集会所)にて、賞状・賞金の授与を行った。受賞理由は次のとおり。 

  ■海事奨励賞
  山岸 寛 著「海運70年史」


 本書は、山縣記念財団の創設70周年と期を同じくして戦後70年間の世界と日本の海運の発展や変遷の歴史を研究し、まとめ上げた記念的な著作となった。海運先進国である英国や米国の盛衰並びに便宜置籍船、便宜置籍国という国際海運の構造変化や安全運航・環境保全の強化、そして海運のグローバル経営が語られる一方、日本の高度経済成長に呼応し成長した日本海運が、戦後の海運助成策とその廃止、仕組船、外国人船員の配乗による構造変化と経営に重大な影響を及ぼしてきた円高などの問題にどのように取り組んできたかを考察している。
 本書は、歴史的経緯を整理しただけではなく、日本海運が継続し抱えている構造問題、世界の海運企業の合従連衡の状況、海上荷動きの変化とその対応など現代的な問題についても解説しており、海事史の研究に留まらぬ点を評価し、海事奨励賞とする。

著者:山岸 寛
1971年早稲田大学大学院商学研究科博士後期課程単位取得満期退学、同年(財)山縣記念財団専任研究員、1972年東京商船大学商船学部専任講師、1985年英国ウェールズ大学海運学部客員研究員、米国カリフォルニア大学バークレー校交通工学研究所客員研究員、1987年東京商船大学商船学部教授、1995-96年中国大連海事大学客員教授、2003年東京海洋大学海洋工学部教授、同年日本海運経済学会副会長、2005年流通経済大学流通情報学部教授、同年東京海洋大学名誉教授、2007年(財)山縣記念財団理事、2013年日本海運経済学会名誉会員。

海事史奨励賞
  伊藤 玄二郎 著「氷川丸ものがたり」


 本書は「氷川丸物語」(高橋茂著、かまくら春秋社)と「氷川丸とその時代」(郵船OB氷川丸研究会編、海文堂出版)をベースに、伊藤玄二郎氏が加筆し、再構成したもの。現在も横浜のシンボルとして山下公園前に係留されている「氷川丸」が、1930年の就航以来、戦前・戦中・戦後と辿ってきた軌跡を通して、戦争を知らない世代に平和の尊さを考えさせる契機を提供しており、今年の戦後70周年という節目に時宜を得た刊行と言える。また、記憶を風化させないためにリバイバルした点でも評価できる。全体を通して「氷川丸」にスポットを当てながら、この船に携わった多くの人々を鮮やかに描写している点なども評価し、海事史奨励賞とする。

著者:伊藤 玄二郎
エッセイスト、星槎大学教授、関東学院大学教授、早稲田大学客員教授を経て蠅まくら春秋社 代表取締役(現職)。専門は近代日本文学。

海事史奨励賞
  南極OB会 編集委員会 編『南極観測船「宗谷」航海記』


 本書は、日本初の南極観測船「宗谷」の60年前の南極観測の黎明期の貴重な記録である。本書の特徴として乗組員・観測隊員が記述した航海記録、搭載ヘリコプターの航空記録、観測隊の活動記録をまとめ上げていることと、現在進行形で書かれているために実際の活動に触れているような感覚を覚えるほどリアリティのある内容になっている。本書は、手さぐりに近い当時の南極観測を現代的に振り返る意味で貴重な図書であることを評価し、海事史奨励賞とする。

編者:南極OB会 編集委員会
渡邉興亞(南極OB会、編集委員長、出版・解説担当)、深瀬和巳(南極OB会、観測隊活動、報道関係担当)、高尾一三(南極OB会、乗組員関係担当)、大瀬正美(南極OB会、記録写真解説担当)、古田逸子(元国立科学博物館極地研究部、資料担当)、鈴木かおり(南極倶楽部、編集)、木村洋子(船の科学館、編集)、小林智子(編集委員会事務局)。
南極OB会は、日本南極地域観測隊への参加者を中心に組織され、南極にかかわる知識の普及活動と会員の親睦を行い、南極事業の発展に寄与することを目的とした任意団体。

海事技術奨励賞
  惠美 洋彦 著・作画「英和版 新 船体構造イラスト集」


 客船やコンテナ船、バルクキャリア、タンカーなど船種別に120種類以上の船体構造を取り上げて多数の精密なカラーイラストと解説を付した労作である。解説やイラストの構造図における各部の名称は、和文と英文を併記することで海運・造船に関する英語の技術用語の理解を容易にしている。本書は、船員教育機関や造船工学を学ぶ学生、また造船技術者、船舶の運航にかかわる海運関係者などに大変役立つ参考書である。
 著者は、日本海事協会で長年新造船、就航船の現場検査者に従事し、船舶構造を熟知しており、内容は信頼性の高いものになっている。これだけ多くの船体構造を網羅したイラスト集は他に類を見ないものであり、海事技術奨励賞とする。

著者:惠美 洋彦
1957年広島大学船舶工学科卒、(財)日本海事協会入会。本部にて危険物運搬船の安全評価に、横浜・大阪・東京支部では新造船、就航船の現場検査に従事。工学博士。