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【住田正一海事奨励賞各賞 受賞者決定のお知らせ】

2014年度 「住田正一海事奨励賞」、「住田正一海事史奨励賞」及び
「住田正一海事技術奨励賞」決定のお知らせ
     一般社団法人日本海運集会所
    住田正一海事奨励賞管理委員会


 「住田正一海事奨励賞」は、海運、造船事業に従事する傍ら、海事資料の刊行や廻船式目の研究などを通じて、広く海事文化の発展に寄与した故住田正一氏の功績を記念して昭和44(1969)年に設置されたもので、46回目を迎える今年度も海事奨励賞候補作、海事史奨励賞候補作および海事技術奨励賞候補作に意欲的な応募があった。
前列左側が合田浩之氏、右側が木俣順氏、後列左側が北田博重氏、右側が角洋一氏
 各候補作について(一社)日本海運集会所・住田正一海事奨励賞管理委員会で慎重に検討を重ねた結果、海事奨励賞に黒田勝彦編著、奥田剛章、木俣順共著『日本の港湾政策 ―歴史と背景―』(成山堂書店)、海事史奨励賞に合田浩之著『戦後日本海運における便宜置籍船制度の史的展開』(青山社)、海事技術奨励賞に角洋一著 『Mathematical and Computational Analyses of Cracking Formation』(Springer)、北田博重、福井努共著『船舶で躍進する新高張力鋼―TMCP鋼の実用展開』(成山堂出版)をそれぞれ決定した。受賞理由は次の通り。

海事奨励賞
黒田勝彦編著、 奥田剛章、木俣順 共著 「日本の港湾政策 −歴史と背景−」
 わが国は重量ベースで輸出入の実に99.7%が海上輸送に依存しており、その玄関口である港湾はわが国の産業・経済や国民生活に密接に結び付いている。本書は明治の開国期から現代まで時代の背景や港湾に求められる役割を反映し変遷してきた港湾政策について丹念に検証する一方、現代のグローバル経済の進展の下、大競争時代を迎えた世界の港湾の状況や運営体制に関する世界の潮流も取り上げて、今後の日本の港湾の整備や管理運営のあり方について考察している。本書は史的研究に止まらず、今日的な港湾研究に資するものになっている。

著者略歴:
黒田勝彦 1966年京都大学工学部土木工学科卒、1968年同大学大学院修士課程修了、同年京都大学工学部助手、1974年同大学工学部助教授、1991年熊本大学工学部教授、1994年神戸大学工学部教授、2006年神戸大学定年退職 同大学名誉教授、2012年(一財)関西空港調査会理事長(現職)、2014年阪神国際港湾(株)監査役就任
奥田剛章 1970年京都大学工学部土木工学科卒、同年大阪市就職、港湾局配属、2004年大阪市港湾局長、2007年大阪港埠頭公社理事長、2011年大阪埠頭(株)代表取締役社長、2012年ニシキコンサルタント(株)顧問(現職)
木俣順 1995年名古屋大学工学部土木工学科卒、1997年同大学大学院工学研究科博士前期課程修了、同年中央復建コンサルタンツ(株)入社、2013年同社計画系部門ゼネラルマネージャー(現職)

海事史奨励賞
合田浩之 著 「戦後日本海運における便宜置籍船制度の史的展開」
 本書は、戦前から現代に至る日本の便宜置籍船の歴史的展開について著者が実証的な研究に取り組んだ成果である。本書では戦前から現代に至る日本の便宜置籍船の歴史的展開について史実に基づき分析し、生成期、拡大期、定着期(成熟期)に整理して解説している。特に戦後、邦船社がおかれた経営環境、日本の経済政策や海運政策、全日本海員組合の対応が明らかにされ、便宜置籍船の歴史を通じて日本海運の戦後史が語られることになる。また便宜置籍船が日本海運の経営国際化を進める契機になったことがよく理解できる。

著者略歴:
合田浩之 1991年東京大学経済学部卒、同年日本郵船(株)入社、同社経営企画本部調査グループ総合調査チーム長(現職)、2003年筑波大学大学院博士課程修了(法学)、2012年埼玉大学大学院博士課程修了(経済学)、2010年日本工業大学大学院客員教授就任、2013年駒沢大学経済学部非常勤講師就任

海事技術奨励賞
角洋一 著 「Mathematical and Computational Analyses of Cracking Formation」

 本書は、船舶海洋構造物等に生じる「亀裂の進展現象」に関して、「亀裂解析」の数学的な取り扱いとそれに基づく「亀裂進展」の数値シミュレーション手法を解説した英文による研究書である。本書は破壊力学や亀裂進展解析に関する基礎的事項について幅広く解説するとともに、著者の研究成果を基に最新の亀裂進展解析に関する知見について詳細かつ体系的に論じている。船体構造における亀裂進展解析は、船舶の構造健全性評価に直接関わるものであり、破壊制御設計の考え方を学ぶ上で本書は貴重である。

著者略歴:
角洋一 1976年東京大学大学院博士課程修了(船舶工学)、同年横浜国立大学工学部講師、1978年同大工学部助教授、1993年同大学工学部教授、2007年同大学統合的海洋教育・研究センター長併任、2009年−2011年(社)日本船舶海洋工学会会長、2014年横浜国立大学退官、同大学名誉教授、2014年放送大学客員教授(現職)

海事技術奨励賞
北田博重、福井努 共著 「船舶で躍進する新高張力鋼−TMCP鋼の実用展開」

 1980年代以降、国内海事クラスター(船社、造船、鉄鋼会社、船級協会、大学など)が結集し総力を挙げ開発・実用化した新鋼材(新高張力鋼)がTMCP鋼である。開発当初から関わってきた日本海事協会のエキスパートがTMCP鋼の実用化の基礎について船級規則からの視点で具体的に解説している。本書は、TMCP鋼の実用展開に関わる基礎知識・資料を提供すると同時に、TMCP鋼のあくなきイノベーションの記録でもあり、今後の新鋼材と基盤技術の関わりを考察する上で大変参考となる。

著者略歴:
北田博重 1972年大阪府立大学大学院修士課程修了(材料工学)、同年(財)日本海事協会入会、1990年東京大学工学博士(船舶工学)、1995年同会材料艤装部主管、2001年同会材料艤装部長、2006年同会常務理事、2008年同会副会長、2012年同会常勤顧問(現職)
福井努 1999年広島大学大学院修士課程終了(構造工学)、同年(財)日本海事協会入会、2004年同会今治支部、2009年検査技術部、2012年材料艤装部主管(現職)